銭湯に思う 川上 由香
子供の頃、歩いて5分くらいの範囲に銭湯が2軒ほどあって、ご近所さんがみんな銭湯に行っていました。我が家も家族揃って、銭湯へ行くのが日課の一つになっていました。
小学校の低学年の頃は、ときどき男湯から聞こえてくるガキ大将の同級生の声になぜかどきどきしたものです。
いつしか家庭風呂が普及し始め、銭湯へはあまり行かなくなりましたが、結婚し子供もちょっと大きくなった今、ハイキングの帰りや冬の寒い日などには、親子で銭湯へ出かけます。
日頃、忙しくてゆとりのない生活を送っている私にとって、銭湯はちょっと息抜きに気分転換できる、ささやかな楽しみの場なのです。
4年生の息子が、先日、宿泊学校へ行ってきました。元気に帰ってきた子供のお土産は、たくさんの汚れた洗濯物。後日行われた懇談会で、先生が「お風呂に忘れ物が多くて困りました。脱衣籠に山盛りになるくらいです。名前の書いてあるものは本人にそーっと返しましたが、特に記名が無い下着は、思春期を迎える子供もいる前で、「これだれの?」と見せるわけにもいかず・・・」とおっしゃるのです。改めて考えてみると、家庭風呂では、脱いだ洗濯物を持ち帰るということが無く、自分の荷物を自分で責任を持って管理するという習慣がないことに気がつきました。銭湯に連れていくことがあるせいか、我が子はちゃんと脱いだ洗濯物を持ち帰っていたので、恥ずかしい思いをせず、内心ほっとしました。
銭湯は、マナーのしつけなどの社会勉強ができる場であり、ふれあいの場でもあります。こんな身近にある銭湯を、もっとたくさんの親子に利用してもらいたいと思います。